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月別アーカイブ: 2025年9月

あるてのよもやま話~つなぐ~

皆さんこんにちは!

株式会社あるての更新担当の中西です!

 

さて今回は

~つなぐ~

 

小規模多機能型居宅介護(以下、小多機)は、通い(デイ)・訪問・泊まりを同じ事業所・同じ顔ぶれの職員で柔軟に組み合わせられるケアの仕組みです。
このサービスの力を最大限に活かすカギは、設備の新しさでもメニューの多さでもなく、**「利用者さんとの関係(リレーション)」**にあります。関係の質が、そのまま安心・自立・生活の継続性に跳ね返ります。

本稿では、現場で役立つ視点と実践のコツに絞って、なぜ関係が重要なのか/どう育てるのかを整理します。


1|小多機の価値=“同じ人が、同じ目で、暮らし全体を見る”こと

  • 同一拠点・同一職員が関わるため、通い・訪問・泊まりの場面切替でも観察情報が途切れにくい

  • 「昨日デイで少し咳」「夜間トイレ回数が増えた」など、断片情報が一本の生活像にまとまる。

  • この一貫性が、早期の変化察知・転倒予防・服薬アドヒアランスに直結します。

関係は“情報の送受信路”。太く、詰まらず、温度のある回線づくりが小多機の真価です。


2|“関係”がもたらす4つの効果

① 安心の土台:予測可能性をつくる

見慣れた職員・声が、「今日も大丈夫」という情緒の安定を生みます。とくに認知症の方には、馴染みの関係が混乱・不安・不穏の緩和に働きます。

② 自立支援:選択と挑戦を支える

「この方法ならできる」を一緒に探す伴走者がいると、できることが増える/取り戻せる。関係の蓄積がその人仕様のアプローチを可能にします。

③ リスクマネジメント:微細な変化に気づける

姿勢・歩幅・食べる速さ・表情の“いつもとの違い”は、親しいほど見抜ける。関係の深さは早期発見の精度です。

④ 家族支援:ケアの“同盟”を結ぶ

家族の不安や負担感も、信頼できる窓口があるだけで下がります。目標を共有するパートナーになれたとき、在宅継続の可能性が広がります。


3|関係を育てる基本原則(現場の行動指針)

  1. 「その人」の辞書で話す
    好きな呼び名、話題、生活歴(職業・役割・趣味)を使ってコミュニケーション。回想・バリデーションの視点で“正しさ”より“気持ち”を受け止める。

  2. 小さな合意を積み上げる
    いきなり“正解のケア”を押し込まず、できる・選べる・続けられるステップを一緒に決める。合意の積み重ねが自己効力感を生む。

  3. 情報は“点ではなく線”で残す
    連絡ノートや記録は事実→解釈→次の仮説の順で。シフトを跨いでも“同じ人が見ているように”連続性を担保する。

  4. 境界線(ボーダー)を守る
    近さ=馴れ合いではありません。プライバシー・自立・安全を守る距離感が、長く健やかな関係をつくる。


4|ケースで学ぶ“関係が効いた”場面

事例A:夜間不穏が強いKさん

  • 背景:元・漁師。夜間に覚醒しやすく、泊まりで不穏。

  • 関係の手がかり:日中、海の話をすると表情が柔らぐ。

  • 実践:就寝前に**「明日の潮見表トーク」を5分設定。枕元に波音アプリ**、夜間巡回は一声かけの定型文で統一。

  • 結果:入眠までの時間短縮・覚醒時の再入眠がスムーズに。薬量を増やさず行動的ケアで改善。

事例B:入浴拒否が続くMさん

  • 背景:元・和裁。手順に強いこだわり。

  • 関係の手がかり:作法・順序が崩れるとストレスが高まる。

  • 実践:「段取り表(見える化)」を一緒に作成。“自分で選ぶ3項目”(タオルの色、湯温、最後の洗う部位)を固定。

  • 結果:「自分の段取り」が機能し、拒否がほぼ消失。生活リズムが安定。

共通点は、**生活歴に根ざした“その人の取扱説明書”**を、職員全員で共有したこと。関係の質がケアの質に直結します。


5|家族との関係づくり:三者で“同じ地図”を見る

  • 初回面談で「今いちばん困っていること」「譲れないこと」「できれば続けたいこと」を3つずつ聞く。

  • 写真・短文の週次レポ(LINEや紙)で“良い変化”を可視化。「食が進んだ」「笑顔」「歩行距離」など。

  • 目標は“ケアのKPI”と“家族のKPI”の両方

    • 例:転倒ゼロ(ケアKPI)+家族の睡眠時間6時間確保(家族KPI)。

  • ACP(人生会議)は“元気なうちから”。言い出しにくいときは季節行事や誕生日をきっかけに小さな対話から始める。


6|チームで関係を守る:属人化しない仕組み

  • 5分カンファ:出勤時・退勤時に「良かったこと1つ/気になること1つ」を音声でもテキストでも共有。

  • 写真つきSOP(やり方の見える化):移乗・整容・整位など“その人仕様”をA4一枚に。

  • 新人オリエン:最初の1週間は同じ利用者さんを連続担当し、関係の“芽”を育てる。

  • 感情のケア:職員も人。モヤモヤの共有・相談先を明確に。燃え尽き防止が、関係の持続力を高めます。


7|明日からできる「関係づくり」チェックリスト

  • 呼ばれたい名前を確認し、名札や記録に反映した

  • 好き・嫌い・得意・苦手を4象限で書き出した

  • 生活歴の3ワード(職業・役割・趣味)を会話に使った

  • “今日の小さな合意”(一緒に決めたこと)を1つ作れた

  • 良かった瞬間の写真/一言を家族に共有した

  • 交代時に事実→解釈→次の仮説で引き継いだ


8|結び――“関係”は介護の技術であり、成果そのもの

小多機の強みは、一人の暮らしを途切れずに支えること。
その力は、丁寧な観察と、敬意のある対話と、チームの連続性から生まれます。
「あなたといると安心」「ここなら続けられる」という実感が、在宅生活の延伸・QOLの向上・家族の負担軽減につながる。

関係は“ふんわり”でも“属人的”でもありません。
毎日の小さな選択と、記録と、仕組みで育てるプロの技術です。
今日の“ひと声”“ひと工夫”が、明日の安心をつくります。

 

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あるてのよもやま話~“世代をつなぐ時間”~

皆さんこんにちは!

株式会社あるての更新担当の中西です!

 

さて今回は

~“世代をつなぐ時間”~

 

大変お待たせいたしました。7月に行われた交流イベントのご報告です。
今月は、羽根昭和保育所の年中・年長さんをお迎えしての交流会を開催しました。本来は「室戸の日」にあたる6月10日の実施を予定していましたが、今年は日程を調整し7月下旬に開催。保育所さまの温かいご協力のもと、数年ぶりの再開が叶いました。心より感謝申し上げます。


「6・10=む・ろ・と」――室戸の日に寄せて

610(むろと)”は、数字を語呂合わせで室戸に変換したもの。毎年6月10日前後には室戸市内でユニークな催しがいくつも行われます。当事業所もこの日に合わせて準備をしてまいりましたが、今年は7月の交流会に思いを込めて実施いたしました。


童謡と踊りがつなぐ、子どもたちと利用者さんの輪

当日は、子どもたちが元気いっぱいに**「よさこい節」「しまじろう音頭」を披露。利用者さんも鳴子を手に、自然と身体がリズムを刻みます。
合唱では、懐かしい
「シャボン玉とんだ」、そして世代を超えて人気の「にじ」**を一緒に歌いました。
「歌詞を口ずさんでいたら、若い頃の情景がふっと浮かんできたよ」「よさこいの鳴子を久しぶりに握れてうれしい」――そんな声があちこちから。音楽と踊りが、記憶と笑顔をやさしく呼び起こしてくれた時間でした。

小規模多機能型施設では、日々の体操や口腔ケアに加えて、こうした「人との交わり」が心身の活性化につながります。利用者さんは、交流会に向けて体力づくりや歌の練習もコツコツ続けてこられました。


“ぱちぱち飴”で会話がはずむ、世代間スイーツ交流

交流会の締めくくりには、感謝の気持ちをこめて利用者さんから子どもたちへお菓子のプレゼントを手渡し。なかには、口の中で弾ける懐かしの**「ぱちぱち飴」も。
「子どもの頃に食べた」「あの“ぱちっ”という音が楽しい」――世代を問わず
同じ思い出**で笑い合えるひとときでした。


この日の昼食は“行事ごはん”。室戸の夏といえば、やっぱりスイカ

イベントの日は少しだけ豪華なお献立に。

  • そうめん

  • 茄子の煮付け

  • 白菜のおひたし

  • おにぎり

  • スイカ

真夏は熱中症予防と水分補給の観点から、当事業所でもスイカをよくお出ししています。室戸市はスイカの産地でもあり、なかでも**「キラ坊スイカ」は毎年予約が殺到する人気**。当事業所のある羽根町のお隣、吉良川町・西山大地で収穫されるスイカで、シャリっとした食感と爽やかな甘みが特長です。地元の旬を味わいながら、会話も自然と弾みました。


小規模多機能だからこそ叶う、柔らかな交流のかたち

小規模多機能型施設は、通い・訪問・泊まりを柔軟に組み合わせられるのが特長です。今回のような地域交流の機会も、その日の体調やご希望に合わせて無理なく参加いただけます。
私たち職員は、安全・衛生管理に配慮しながら、利用者さんの**“やってみたい”**を形にするお手伝いを続けていきます。


さいごに

子どもたちの真っすぐな歌声、鳴子の音、スイカのみずみずしさ――季節と地域を丸ごと味わう交流会になりました。ご協力くださった羽根昭和保育所の皆さま、準備に奔走してくださったイベント担当の皆さま、本当にありがとうございました。

今後も、施設での行事や地域との取り組みをブログで発信してまいります。

 

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